認知症になるのが怖い。
高齢の母と一緒に暮らしていると、認知症は一度発症したら進行はもう止められない、とわかる。どんなに運動しようと、脳トレしようと、症状は進んでいく。
一方で、高齢になっても認知症を全く発症しない人もいる。時々テレビで取り上げられている80代のアプリ開発者や、90代の会社事務員、90代の介護職員、100歳過ぎても現役医師だった聖路加病院の日野原先生などは、認知症の片鱗すら見えない。彼らは話すスピードも早く、相手の言ったこともきちんと覚えているので、会話がチグハグにならない。高齢者が質問に適切に回答できなくなるのは、質問の内容を自分が答える時まで覚えていられないからだ。特に、質問文が長かったり、少し前に話した内容に関連した質問だと、自分が回答するときまで記憶を保持できないので、会話が成り立たなくなってしまう。
認知症は誰もが高齢になると少しずつなるものではなく、なる人とならない人に明確に分かれている。ならない人はどんなに高齢になっても一生ならない。
私も認知症になリたくない。ならない方法があるなら、全てやりたい。でも、まだ確立された予防法はない。仮説は色々あるが、検証結果が出ていない。検証には長い年月がかかるので、検証結果を待っていたら、私には間に合わないので、検証結果を待たずに、今わかっていることから考えられる予防法を実施していきたい。
今わかっていること:認知症の種類
認知症の種類は以下の通り。種類によって、症状や脳の状態が大きく異なる。
| 種類 ()は認知症に占める割合 | アルツハイマー型 (68%) | 血管性 (20%) | レビー小体型 (4%) | 前頭側頭型 (1%) |
| 症状 | 物忘れ、遂行機能障害、失語、失行(作業能力の衰え)、失認(何かわからない) | 物忘れ、手足の痺れ、麻痺、感情のコントロールがうまくいかない | 幻想、妄想、うつ、パーキンソン症状、レム睡眠行動障害(寝ぼけ)、自律神経症状 | 同じことを繰り返す、我が道を行く、人柄と違う行動、言葉の意味がわからない、物の名前が出てこない |
| 脳の変化 | 海馬やその周辺に目立つ萎縮 | 脳梗塞、脳出血の初見 | 脳の萎縮は見られない | 前頭葉と側頭葉に萎縮 |
| 進行速度 | 徐々 | 障害場所によって異なる。比較的急に発症、段階的に進行。 | 調子のいい時と悪い時を繰り返して進行。急速な時もある。 | 緩やか |
上記のほか、混合型 (3%)、アルコール性 (4%)、その他 (1%未満)がある。
今わかっていること:認知症の原因
認知症は一つの要因では説明できない。一つの要因だけに当てはまっても発症しない人は沢山いる。複数の要因が特定の条件下で重なると発症する。要因としては考えられるものには以下がある。
【遺伝】
APOE4型遺伝子を持つ人は発症率が高い。APOEは2型、3型、4型の3種類あり、APOE4型遺伝子を保有している人の割合は27%。APOE遺伝子は誰もが2個セットで持っており、組み合わせの種類は、4型+4型 (1%)、4型+3型 (21%)、4型+2型 (5%)、3型+3型 (60%)、3型+2型 (12%)、2型+2 型(1%)となる。(ソース:NKメディコ)
発症リスクの大きさは、APOE遺伝子3型+3型の認知症発症リスクを1とした場合、2型+3型では0.6倍、4型+2型と4型+3型では3.2倍、4型+4型では11.6倍になる。(ソース:NKメディコ)
ただ、APOE4遺伝子を保有しない人も認知症になる。逆にAPOE4型+4型を保有しても認知症にならない人もいる。このことから、認知症の発症はAPOE4遺伝子だけでは説明はできない。(ソース:NKメディコ)
APOE遺伝子は、血液や唾液で調べることができる。
【アミロイドβ蛋白質】
アルツハイマー型認知症の人の脳には、アミロイドβ蛋白質による病変(老人斑)がたくさん存在する。アミロイドβ蛋白質は細菌などの感染に対する免疫応答蛋白質である。これまで、このアミロイドβ蛋白質を減らせば認知症は改善されると信じられてきた。
しかし、最近になってその考え方に疑問が投げかけられている。認知症治療薬アデュカマヌブは、アミロイドβ蛋白質を減らす効果は見られたが認知機能は改善できなかった。アミロイド周囲の神経細胞が若干回復したが、大きな改善効果は見られなかった。
アルツハイマー病を発症した後にアミロイドβ蛋白質を脳内から除去しても、認知機能の低下を止められない。(国立長寿医療研究センター)
【ヘルペスウィルス】
アルツハイマー型認知症の人の脳には、単純ヘルペスウィルス1型(HSV1)と水痘・帯状疱疹ウィルス(VZV)が存在する。ヘルペスウィルス抗体価(抗体量)と認知症の症状は並行する。
HSV1が活性化するたびにアミロイドβ蛋白質が蓄積される。HSV1が活性化すると、口角が切れたり唇に水疱が出きたりして口角炎になる。VZVのみに感染してもタウタンパク質やアミロイドβ蛋白質の形成促進はないが、HSV1が存在すると劇的に増加する。HSV1が脳内に存在する場合、特定遺伝子APOE4との組み合わせでアルツハイマー発症リスクが高まる。
ヘルペス感染はアルツハイマーのリスクを高めるが、抗ウイルス薬アシクロビルで治療しておくと、発症リスクが下がる。帯状疱疹予防ワクチンの接種で認知症リスクが低下したという研究結果もある。「ワクチン接種により免疫システムが活性化され、アルツハイマー病の原因タンパク質を攻撃するようになるのではないか」と米マサチューセッツ総合病院のAvram BukhbinderがJournal of Alzheimer’s Diseaseが発表している。ただ、一方で、帯状疱疹ワクチン接種後に帯状疱疹になってしまったという口コミもSNSで散見するので、逆に活性化してしまう可能性もある。
【細菌感染】
脳の免疫細胞であるミクログリアは、脳内にアミロイドβ蛋白質を検知すると活性化し、脳内炎症を起こし、認知機能障害を起こす。脳内炎症は、肥満、歯周病、カビへの感染、トランス脂肪酸などでも起きる。ミクログリアは慢性的に脳への血流が少ない場合も活性化する
【睡眠不足】
レム睡眠時間の割合が少ないとアルツハイマー発症リスクが高くなる。認知症患者は発症早期からレム睡眠が減少する。レム睡眠はアミロイドβ蛋白質を洗い流してくれる。
マウスを使った研究でレム睡眠中に毛細血管に大量の赤血球が流入することがわかった。覚醒時やノンレム睡眠時の2倍の赤血球が流入する。(日本医療研究開発機構)
一方、ノンレム睡眠時には脳への血流は少なるなるが、脳脊髄液が大量に流れ込み、蓄積したアミロイドβの代謝副産物(老人斑?)を洗い流している可能性がある。(ボストン大学ローラ・スミス研究チーム)
レム睡眠がアミロイドβ蛋白質を、ノンレム睡眠がアミロイドβ蛋白質によってできた老人斑を除去すると考えられている。
レビー小体型認知症ではレム睡眠時に暴れる、大声を出す、手足をバタバタさせるなどのレム睡眠行動障害を起こすことがある。
【腸内細菌】
認知症患者とそれ以外の腸内細菌を調べたところ、認知症患者はバクテロイデスが多く、ビフィドバクテリウムが少ない。また認知症患者は、種類のわからない腸内細菌が多い。(国立長寿医療研究センター)
ビフィドバクテリウムは、運動不足、睡眠不足で、発酵食品や食物繊維の摂取が少ない人に多い。(新バイオシス・ソリューションズ)
【海馬】
海馬は脳内で新しい記憶が一時保存される場所で、全ての情報は海馬を経由して、その後長期に残す記憶は大脳皮質に溜められる。テキストで覚えたものは海馬、体で覚えたものは大脳皮質で保存されると言われる。テキスト記憶はすぐに消えてしまう。
海馬はデリケートで壊れやすく、酸素不足で脳がダメージを受ける時、最初に海馬から死んでいく。強いストレスに晒された時も海馬は壊れてしまう。
緑茶を飲む量が多いほど、海馬の萎縮が少ないというデータがある。
【その他】
そのほか、タウ蛋白質の蓄積、脳組織の炎症、脳血管ダメージ、神経細胞の脱落が原因となることもある。
認知症予防方法
認知症は発症予防として効果がありそうな方法は以下の通り。
- ヘルペスウィルス(HSV1とVZV)に感染してしまっている場合は、ウィルスが増加しないように注意する。ウィルスは体力低下時、免疫力が落ちたときに増加するので、普段から免疫が低下しないように健康維持する。もし、ウィルスが増殖して口角炎や帯状疱疹などの症状が出てしまったときは速やかに抗ウィルス薬(アシクロビル)を使う。
- 体重を増やさない。太らない。
- 歯周病になったら治療し、ならないよう予防する。
- 帯状疱疹ワクチンの接種を検討する。帯状疱疹ワクチンは認知症を予防するという検証結果がある一方で、ワクチン接種後に帯状疱疹になってしまったという人もツイッター上で複数いるのでさらに情報収集してから判断した方が良い。特にツイッター等でワクチン接種後に発症してしまったという人は水疱瘡に罹ったことがあったのか、なぜワクチンで発症してしまったのか原因を調べる。
- カビへの暴露を減らす。カビが好む環境(湿度が高い、埃が多い)を作らない。
- 発酵食品、食物繊維の摂取を増やし、緑茶を飲む。トランス脂肪酸の摂取は減らす。
- 睡眠時間を増やす。ノンレム睡眠、レム睡眠いずれも増やす。
- ストレス耐性をつける。ストレス要因の排除ができない場合は、受け止め方がネガティブにならないようにする。性格は腸内細菌で変わるというレポートもあるので、腸内細菌と性格については別途調べる。
- 運動をする。


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