介護から解放されたいと思ったことが何度もある。でも、いざ解放されるときというのは、母がこの家からいなくなる時でもある。それは想像するだけで悲しい。その悲しさに私のメンタルや健康が耐えられるか不安だ。少しでもその悲しみを和らげるために、今できる準備をしていきたい。
この家は、母のものが溢れている。母亡き後、家中のどこを見ても母を思い出し、悲しくなるだろう。母に会えるうちは、母のものを見ても悲しさは少ないので、母が生存中に片付けを済ませたい。母が使わなくなったものから、少しずつ整理して、家から母の思い出を少しずつなくして、母亡き後に悲しみをできるだけ感じないようにしたい。
そのためには、まず母が家にいる時間を少しずつ短くしていきたい。まずはデイサービスを利用して日中は母が家にいないようにし、次はショートステイを利用して夜間もいない日を増やし、その次は施設に入居し、週に何度か私から母に会いに行く生活をする。最期は自宅ではなく、施設か病院で、苦しむことなく迎えてほしい。
ショートステイや、施設で過ごすと認知症が進むと言われている。認知症は記憶がどんどん失われていく病気だ。家を離れて数日経ったら、家の周りの風景や、家の間取り、家のどこに何があったか、家でどんな生活をしていたかなどの記憶が消えてしまうかも知れない。私と会わない日が続いたら、私のことも忘れてしまうかもしれない。母の頭の中から私や家が消えてゆき、もうこれまでの母ではなくなっていくだろう。そうやって、少しずつ今の母と別れていく方が、ある日いきなりこの家からいなくなるより辛くないように思う。
でも、私がまだ母を失うことに対する心の準備ができていないので、ショートステイを利用する気になれない。母の頭の中から、この家や私の記憶が消えてしまうのは寂しい。まだ受け入れられない。


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