人生は大きな海に設置されたウォータースライダー。生まれた時に、スライダーのトップから背中を押されて滑り始める。無事スライダーの一番下まで行って海に放流されたら寿命全う。いわゆる老衰死。
日本では男性の死因の6%、女性は16%が老衰だ。男女とも約1割しか寿命を全うできない。残りの9割は老衰の前に、スライダーの外に投げ出されてしまう。
スライダーは、なだらかで平坦なところもあれば、ゴツゴツと障害が多く、気をつけなければ途中で外に投げ出されてしまこともある。気をつけていても、戦争や地震でスライダーが折れて、不可抗力で海に投げ出されてしまう場合もある。
スライダーは大抵滑り始めた時はなだらかだが、海が近づくにつれてゴツゴツと障害が増えて来る。どんなスライダーを滑っていようと、共通するのは人間用のスライダーの長さと角度は誰のスライダーも大体同じなのと、確実に滑り落ちていくこと。スライダーに手すりはなく、止まることはできない。スライダーの途中で止まって、スライダーの一番下に流れ着く時間を遅らせることはできない。
そう考えると、「時間の節約」って何なのだろう。一度滑り出したら止まれないので、節約はできない。節約できないのに、どうしてこんなに焦るのだろう。どうして人に時間を奪われたり、予想したより時間がかかると、こんなにイライラするのだろう。どうして映画を1.5倍速で見たいのだろう。
時間を消費したと後悔してしまうのは、将来につながらないことをした時が多い。将来につながらないことをしていると時間を浪費しているようで不安になる。自分の将来は、年々短くなっていくのに、将来への準備に時間を使わないと焦る。
将来への不安はキリがない。どんなに準備しても後から湧いてくる。いつになったら将来の準備が完了し、人生を味わうことができるのか。準備を止めるには、将来どんなことが起きようと受け入れる覚悟をし、心配するのを自分の意思で止めるしかない。もう残されてる将来は少ない。残りの人生は、焦ることなく、ゆったりと味わいたい。
「せっかく生まれたのだから、一度きりの人生だから、いろんなこと経験したい」という人は多いが、これも人生の最期に後悔しないようにと準備をしているように感じる。毎日同じことをしていても、何ら新しいことのない日常でも、焦ることなく過ごしたら、充実した時間になると思う。毎日こんなことしていていいのかと焦ると、日常がつまらなく感じる。
ウォータースライダーを流れ落ちている時間は、長い歴史で見ればとても短い。自分が経験できる時代や世界は限られている。その中でどんな人生を選択しても、それほど大きな違いはない。大した違いはないのに細かくバケットリストを詰め込んで行くより、今いる場所で今やっていることを十分味わって生きていたい。毎日同じ景色を見て、毎日同じことをしても良いと思う。


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