ふざけた会話

幸せ

夕方のオフィスでの、ある上司と部下の会話。

部下:「かっぱ寿司の企業名知ってますか?」
上司:「え、ちょっと待って」と面倒臭そうにググろうとする。
部下:「あ、ググらないで、当ててください。」
上司:「え、クイズ? 当たったら何かくれるの?」
部下:「いえ、何もあげません。でも、外れたら、僕にかっぱ寿司奢ってください。」
上司:「なんでだよ!おかしいだろ!」

私は感心してしまった。不意に上司にこんな会話を投げつける部下に。上司は嬉しそうだった。こんな風に話しかけられたら、部下を可愛く思い、低い評価をつけられるわけがない。

上司のために一生懸命仕事をするよりも、急にふざけたクイズを出す方が、ずっと簡単に上司に好かれる。この会話の最後では、部下は上司を食事に誘っている。まるで、男子が好きな女子をデートに誘う時のような会話である。

苦手な上司のためでも、仕事だと割り切って、業務をこなすことはできる。でも、こんな会話はできない。苦手と思っているのに、嘘をついているような気分になる。私は、上司は愚か、友達にもできない。でも、彼氏やパートナーだったらできる。それくらい相手に好意を持っていないと、できない。

果たして、あの部下は、上司に対し、それほど好意を持っているのだろうか?それが気になった私は、あの会話を聞いた日から、彼を観察するようになった。

ある日、彼がクライアントと電話で会話していたので、聞いてみた。

部下:「僕の隣の席の〇〇(同僚)は、最近またポーカーの世界大会で優勝して、賞金もらったんですよ。賞金が高額すぎて、会社辞めるんじゃないかと心配なんですよ。はっはっは(笑)」
隣の席の同僚:「何の話してるんだよ(笑)」と、電話相手には聞こえないよう小さい声で言った。

またもや、感心した。私には到底できない会話だ。彼の同僚男性のポーカー好きは社内でも有名だ。賞金額があまりに大きいので、サラリーマンしてるの馬鹿馬鹿しくなるんじゃないかなと、私も思ったことがある。それを、まるで共通の友達のことを話題にするかのように、社外のクライアントに話していた。こんな風に話かけられていたら、クライアントは、彼に不満があったとしても、クレームを言いづらい。彼は、上司だけでなく、クライアントにもふざけたことが言えるのだ。

私は、ふざけたことを言うのは、親しい証のように思っていて、好意を抱いていない人に言うのは、嘘をついているような罪悪感を感じてしまう。

あの部下が、いろんな人にふざけたことを言えるのは、いろんな人に好意を抱いている、もしくは、そんなに好意を持ってなくても、ふざけたことは言っていいと思っているかのどちらかだろう。

一方私は、本当に好きな人の前でしかふざけることができず、本当に好きな人が極めて少ない。好きな人を増やすのは難しい。でも、そんなに好きでない相手にふざけたことを言うのはできそうだ。考えてみれば、罪悪感を持つ必要はない。相手が私から、実際以上に好意を持たれていると思ったとしても、何ら問題はない。私は自分の気持ちに正直すぎる。それに気付かされた会話だった。

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